2012-07-31

【余談】 Jacaranda Muse



パリのレコード・レーベル、
Heavenly SweetnessのアントワンがAnthony Joseph
一緒にフジロックに来ていたのですが、帰りにチョロっとだけ
東京にステイしてまして、さっき会ってきました。


彼らの次のリリースのプロモ盤をくれたのですが、
これがまた渋いですけど、しっとりと大人聴きできそうな
いい感じのジャズ番外地。


Jacaranda Museというジンバブエのバンドで、
メンバーはボーカル&サックスの人、チェロの人、
ピアノとンビラ(ジンバブエの親指ピアノ)の人、
コンガとマリンバを叩く人の四人。プロデュースを
↑ のアントワンが担当してます。


アントワン仕事なので、間違いないです。


アントワンは元々Isma'aというレーベルを、
00年代のアタマごろからやっていて、当時は
Roland BrivalとかJef Gilsonとか、レアグルーヴの
コレクター筋で需要のある旧音源希少盤のリイシューを
中心に手掛けてました。


アントワンの活動がユニークなのは、そういった昔の
音源をディグりつつ、当時のアーティストの「今」の録音も
後押しして色々とリリースしているところ。


もちろん、彼がきちんとプロデュースしてあげて、
うまくいまのリスナーにフィットするような出音へと
導いており、昔のビッグネームだけど今はグダグダ、
みたいな、ありがちな残念系には、なってません。


Isma'aのときはRoland Brivalの新録を、やってました。
そのあとビジネス・パートナーのフランクと一緒に新しく
Heavenly Sweetnessを立ち上げて今に至るわけですが、
このレーベルが最初にやっていたのも、やっぱりそういう
方向性で、「フィリー・ジャズ」というシリーズのもとに、
バイアード・ランカスターやカーン・ジャマルら、米国の
イブシ銀スピリチュアル・ジャズ・アーティストたちの新録を
リリースしてました(別会社とのジョイント仕事だったので
今の彼らのウェブでは紹介されてませんが)。


Heavenly Sweetnessではリイシュー系だとダグ・カーンの
『AL RAHMAN! CRY OF THE FLORIDIAN TROPIC SON』とか
ドン・チェリーとラティーフ・カーンの『MUSIC / SANGAM』とか、
重量盤ヴァイナルでメジャー・レーベル(ブルーノートとかUA)の
復刻を企画したり、


新録では、冒頭にも名前を挙げたフジ来日のAnthony Joseph、
Robert AaronやBlundetto(国内盤リリースされてます)等々。


新しいリリースも旧譜のリイシューも、ジャズや黒人音楽を核に
持ちながら、その外側に向けてユルーく逸脱していくようなものが
多くて、そこがHeavenly Sweetnessの特質になっていると思うの
ですが、今回のJacaranda Museというバンドも、どこか独特の
マージナル感があって、これまでこのレーベルのリリースを
チェックしてきたファンの方、特にフィリージャズのシリーズを
聞いてくださった方にオススメできる内容となってます。


アルバムのタイトルは『September Sun』で、秋口のリリース
だそうです。楽しみ。