2015-06-27

DUNGEN: Allas Sak






スウェーデンのサイケデリック・バンド、ドゥンエンが5年ぶりに新作を発表します。今回はこれまで長く彼らの作品をサポートしてきたサブリミナル・サウンドを離れ、おとなりノルウェーの、トッド・ラングレン&リンドストロームのコラボなどで引き続き好調を維持するスモールタウン・スーパーサウンド・レーベルからのリリース(アメリカではメキシカン・サマーから)。


サイケデリックでありながらもメロウでソウルフルな、独自の突き抜けた世界感は相変わらずです。


ご期待ください。
















DUNGEN: Allas Sak
Smalltown Supersound / calentito (CLTCD-2050)

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01 Allas Sak
02 Sista Festen
03 Sista Gästen
04 Franks Kaktus
05 En Gång Om Året
06 Åkt Dit
07 En Dag På Sjön
08 Flickor Och Pojkar
09 Ljus In I Min Panna
10 Sova


ドゥンエンのフロントマンであるグスタヴ・エイステスが音楽の世界に足を踏み入れてからおおよそ20年が経つ。最初はもちろん、ただただ彼自身の楽しみのためだけにやっていたのだが、ご存知のように、いまでは多くの人々が彼の紡ぐうたと音を楽しんでいる。拡がりは、その才能ゆえの必然と言えた。エイステスはスウェーデンの地方育ちで、10代のころにヒップホップとサンプリングの虜となった。当時は、世界中に残された膨大なレコードのアーカイヴの中からひたすら未知のネタを掘り漁っていた。やがてその発掘作業が彼を60年代のポップやサイケデリック・ミュージックへと導いた。そしてあるとき、そういったヴィンテージ音楽を、サンプリング機材に取り込む代わりに、実際に演奏してみよう、と思うに至った。ギターやベース、ドラム、キーボード、そしてときにはフルートまでも手にした。エイステスは、祖母の家の地下にあった小さなスペースでそれらの楽器をひとりで演奏し、テープに録音した。


初めてのアルバム制作を終えると、エイステスはそれをドゥンエンという名前で世に送り出した。2001年のことだった。ドゥンエンとは英語で言うと「grove」すなわち「木立」を意味する。自身が地方育ちであることを暗に示唆するものであると同時に、「Shady Grove」のようなアメリカのフォーク・ソングへのオマージュを含むものでもあった。アルバムは、ラヴやピンク・フロイド、エレクトリック・プルーンズ、オス・ムタンチスといった過去の偉人たちと比較された。いっぽうで彼自身は、自分の奏でる音楽がいかにコンテンポラリーなものであるかを、ことあるごとに主張した。そのサウンドは、過去に深く根差すものであると同時に、現在に花開くものだったのだ。


2004年にリリースした『Ta Det Lugnt』が話題となり、ドゥンエンはスカンジナヴィアの外でもファンベースを築き上げることに成功する。ドゥンエンは基本的にはエイステス自身とイコールだ。活動をはじめた当初は、ツアーに出る際のみサポート・ミュージシャンを集めてフル・バンドを編成した。が、やがてギターのレイネ・フィスケ、ベースのマティーアス・グスタヴソン、ドラムのジョワン・ホルメガルドを従えた現在のラインナップへと落ち着いていく。布陣を固定させたバンドは2007年の『Tio Bitar 』と2009年の『4』で劇的な進化を遂げる。他のメンバーたちがもたらした独自の装飾を血肉としながら、エイステスは自身のビジョンをより明確化させていった。スケールアップし、圧倒的な存在感を持つグループへと成長し、ドゥンエンは、世界でも指折りの現在進行形サイケデリック・バンドとなった。


充実した時代、キャリアの最盛期。だがドゥンエンはここでふと隠遁に入る。最後のアルバム『Skit I Allt』を送り出してから5年、これまでで最も長いインターバルだった。この沈黙はしかし、ドゥンエンが2000年代を通じていかに影響力のある偉大なグループであったかということを浮き彫りにした。エイステスはこの最新アルバム『Allas Sak』において、前作とは異なる新たな領域へと、踏み込んでいる。新作はこれまで以上に大胆でエネルギーあふれる、それでいてひとところにフォーカスされた作品となった。異次元のインストゥルメンタル曲「Franks Kaktus」や荘厳な佇まいの「En G?ng Om ?ret」を耳にすれば、カルテットが、確固たる理念のもとにより崇高な目標に向けて新たな一歩を踏み出したことがよくわかる。色鮮やかな「Flickor Och Pojkar」やエンディングを飾る「Sova」のアレンジにおける繊細なニュアンス表現も格別だ。


本作のレコーディングで、バンドは、良き親友であるマティアス・グラヴォをプロデューサーに招き入れた。これまでにサウンドトラック・オヴ・アワ・ライヴズ、サンバサダーやジ・アメイジングのレコーディングを舵取りしてきたグラヴォだが、ドゥンエンとはかつて『Stadsvandringar』の制作でスタジオを共にしていた。エイステスによればマティアスは「アナログ・サウンドのエンジニアリングにおいて卓越したスキルを有する、魔術師のような存在」だという。しかもただの技術マニアではない。エイステスの思い描くサウンドをきちんとかたちにしてくれる、究極の魔法の手を持つ人物だった。


今回のレコーディングで、グラヴォは、セッションを通じて曲を作り上げていくのではなく、スタジオに入る前の段階で、予め曲をかたちにしておくことを提案した。それまでとは異なるやり方だったが、エイステスは大いに刺激を受けた。「スタジオで曲作りはしない。それがグラヴォの提案だった。しっかりと曲を完成させてから彼のところに行く。そして演奏をそのまま録音するんだ。とても古風な進め方だった。『Allas Sak』は、以前のレコードとは全く異なる工程を経て作り上げられたレコードだ」とエイステス。


『Allas Sak』は家族や友人のこと、快適な暮らしについてなどの日常生活を題材としている。普遍的なテーマではあるが、決してありふれてはいない。身近な日々を歌うことで、音楽が、まさにいまこの場所と結び付き現在形のものとなるのだ。音楽はまた、そういった日常にちょっとした厚みをもたらしてくれる。「歌詞はとても大切だ」と語るエイステス。「今回は、日々の暮らしで得たものや考えさせられたことを歌った。このレコードを聞いて、みながそれぞれのストーリーを作ってくれたらと思うんだ。僕の音楽に、聞き手が持つ独自の物語を重ね合わせて、オリジナルの作品を、作ってもらえたらと。」


(Smalltown Supersoundプレス・リリースより)





リリースされました!
お店でもいい具合に展開いただいております。









10月20日発売『ミュージック・マガジン』ではクロス・レヴューのページでも取り上げていただきました。





是非!