2011-08-22

【NYトロピカル収録アーティスト紹介】 KNIGHT MAGIC








一転して肌寒い日々となっております。


コンピ『ニューヨーク・トロピカル』から、
今日はアルバム一発目にフックアップされている
謎のアーティスト、ナイト・マジック(KNIGHT MAGIC)を
紹介したいと思います。


アメリカはヴァージニア州リッチモンドの出身で、
現在はボルチモア在住の、映像、コミック、ドローイングなども
手掛けるマルチ・タレントなアーティストのJosh Van Horneによる
ひとり音楽ユニットです。


アルゼンチンやペルー、ボリビアなんかでも暮らした
ことがあるそうで、そんな体験が音楽にも反映されて
いるとかいないとか。『NYトロピカル』収録の「El Baile
de la Cumbia」も、曲名に「クンビア」とは謳っており
ますが、とてもエクレクティックで、ひと言では言い表す
ことのできない、不思議な魅力を持った曲です。


Knight Magic - El Baile de La Cumbia by knightmagic


自身の音楽的なバックグラウンドについて、
南米各地での生活について、ダッティー・アーツとの出会い、
「El Baile de la Cumbia」が出来るまで、などなど、少しだけ
話を聞くことができましたので、以下にお届けしたいと思います。


*****


--- 南米各地を、訪れているみたいですが。


KNIGHT MAGIC(以下KM): 最初はアルゼンチンだったね。
友人数人とブエノスアイレスの街を訪れ、しばらくステイした
んだけど、そのとき、「Club Niceto」というハコでやっていた
Zizek」というイベントにハマってしまったんだ。


El RemolonとかChancha via CircuitoとかDousterとか、
素晴らしいアーティストたちと、出会うことが出来て、
大いに刺激を受けたね。


その後ウマウアカの谷(アルゼンチン北部のフフイ州にある町)
を訪れた。ここでもしばらくブラブラとしていたんだけど、そのときに、
色々とクンビアのアーティストたちを知るようになったんだ。


たくさんのグループを掘った。特にLos PalmerasとかGrupo Nectarとか、
Mario LuisやLa Nueva Lunaあたり。


あと、ラジオではクンビア・ビシェラがたくさんかかってた。
La LigaやPibes Chorros、Damas Gratisなどといったアーティストたち。


--- 次に訪れたのは?


KM: ボリビアだね。ボリビアにいたときは、特に現地のトラディショナルな
音楽を集中的に聴いた。中でも、ポトシの音楽。Los Mirlos、Los Zingaros、
Los Hijos del Solなどなど。


で、ペルーに渡ったんだけど、ペルーではAnibal Velasquezとか
Gabriel Romeroとか、あとはLizandro Mesaとか、コロンビアのクンビアを、
聞いていたね。


--- 小さい頃から何か楽器をやっていた?


KM: ドラムとピアノ、あとケーナ(アンデスの笛)も吹いていた。
ヤマハのQY-70っていうシーケンサーを買ってから、色々と
ラップトップで音楽を組み立てていくようになった。


--- ちなみに初めて買った音楽は何?


KM: チャック・ベリーのベスト盤のカセットだった。
5歳か6歳のときだったと思うんだけど、ラジオで流れてきた
My Ding-A-Ling」がおかしくてね。一発で気に入ってしまったんだよ。


--- 『ニューヨーク・トロピカル』に入っているあの曲は、どんな風に
して出来たのですか?


KM: Grupo Nectarの「El Baile de la Cumbia」の変なカバーが
やりたかったんだ。





ペルー滞在中によくラジオで聞いていた曲で、この曲は本当に僕の気持を
ハッピーにしてくれた。実はこの曲はフフイのことを歌った曲なんだ。


ある土地のことを歌った曲が、別の場所でポピュラーになるっていう現象が
面白いとおもってね。この曲、ペルーのラジオでは、何度もかけられていた。
アルゼンチンの曲なのにね!


それをアウトサイダー的な視点から取り上げることによって、
また別の場所でポピュラーになる、そういうサイクルを、継続
できれば、って思ったわけ。


出来上がった曲をダッティー・アーツに送ったら気に入ってくれて、
コンピに入れよう、という話になった。彼らの音楽には共鳴できる
部分も多かったので、即座にオーケーしたよ。


*****

ちなみにアーティスト名「ナイト・マジック」の由来は「単なるジョーク」
だったとか。とりあえずラベルが必要だったので、という、何とも軽い
ノリでスタートしたこの音楽プロジェクトも、気が付けば多くの楽曲を
残すに至っており、その成果に関して多くを彼のサイトで聴くことが
できますので、是非、訪れてみてください。


http://www.joshvanhorne.com/


音楽以外にも、ドローイング、コミック、ビデオ、壁画から脚本まで、
実に幅広い活動を展開しておりますので、そちらも、是非チェックを。


それでは最後に、彼がペルー滞在時によく聞いていたという
Anibal Velasquezの楽曲を、彼がリミックスしたものを、どうぞ。




Aníbal Velásquez - Remolinos (Knight Magic's Baltimore Pride Remix) by knightmagic